建長寺僧堂大徹堂内
三橋運章「聖僧文殊像」1816年制作
三橋運章「聖僧文殊像」1816年制作
禅が育んだ手仕事
二陽堂のルーツは、運慶を中心とする「慶派仏師」であると言われております。
鎌倉時代に中国から禅宗が伝えられ、数多くの禅宗寺院が建てられました。ここで仏像や仏具の制作に携わっていた慶派仏師が、中国からもたらされた堆朱・堆黒などの彫漆器を木彫漆塗の技法で模造したことが、鎌倉彫の始まりであったと言われています。
二陽堂の祖先は、江戸時代には禅宗寺院の仏像と仏具を多く制作しております。
建長寺什器 牡丹文香合
建長寺の開山忌などの法要でご使用頂いております。
大香合の仕様や蓋裏の文字入などの様式を考察。
建長寺唐花文香炉台
四ッ頭茶会のために建長寺本山よりご依頼の品。
材質:木曽檜・桂
建長寺管長 吉田正道老師から
頂いたお言葉「一刀萬象」
頂いたお言葉「一刀萬象」
鎌倉時代の技を蘇らせ、
創建当時の姿に
明治時代の廃仏毀釈により、仏像仏具の制作は急速に衰退しました。
今日、建長寺や円覚寺のご協力のもと「仏具としての鎌倉彫」の復興に取りかかっております。
二陽堂は、仏具制作に力を注ぐなかで、鎌倉・室町時代の鎌倉彫仏具の技術再興を使命としております。
大徳寺玉林院 牡丹文香合
大徳寺玉林院の平成大修復の折に記念として制作。
建長寺掛籍
三橋鎌嶺・鎌幽を中心に作成。4m×2mの大型仏具、一対。
「本派闔衆法階道号席次名單」と「臨済宗建長寺派各寺院名票」。寺院名を彫刻、現地(法堂内)で組み立て作業をし、設置。拭き上げなどによるメンテナンスを行っております。
建長寺牡丹文香合の蓋裏(撮影:建長寺昭堂)
禅の儀礼に適う
文様と様式
中国南宋の儀式に不可欠な仏具の大香合は、南禅寺などでも室町時代に制作された鎌倉彫大香合が使用されております。他にも室町期に制作された大香合は、円覚寺・知恩寺や泉涌寺などに所蔵されております。
禅の儀礼に適う文様と様式は、鎌倉彫特有のものとなります。
臨済宗大本山のいくつかは、現在でも開山忌などの法要で鎌倉彫大香合が使われております。
三橋家が制作・修復に携わった主な仏像と仏具
制作年 | 制作中心人物 | 制作品 |
---|---|---|
2015年 | 三橋鎌幽 | 建長寺 唐花文香炉台 制作 |
2012年 | 三橋鎌嶺 (2代鎌嶺) |
建長寺 牡丹文大香合 制作 |
1927年 | 三橋鎌岳 (了和) |
大徳寺 僧堂 前机 / 本坊 鳳凰文大香合 |
1911年 | 三橋鎌岳 (了和) |
総持寺 仏殿 前机 制作 |
1897年 | 三橋鎌山 | 有栖川宮家 阿弥陀如来像 造立 |
1869年 | 三橋鎌山 | 建長寺正統院 大黒天像 造立 |
1816年 | 三橋運章 | 建長寺西来庵 聖僧文殊像 造立 |
1812年 | 三橋運章 | 建長寺 千体地蔵菩薩像 再興 |
1779年 | 三橋康運 | 建長寺 達磨大師像 造立 |
1710年 | 三橋左京 | 光則寺 三宝本尊像 造立 |
1692年 | 三橋宮内 | 円覚寺 梵天・帝釈天両像 再興 |
1686年 | 三橋伝之丞 | 建長寺 方丈宝冠釈迦如来像 修理 |
1659年 | 三橋但馬 | 円覚寺 三門薬師如来像 修理 |
1643年 | 三橋宗慶 | 英勝寺 阿弥陀如来像 造立 |
1624年 | 加賀宗円 (三橋仏師正系) |
鶴岡八幡宮 随身像二軀 造立 |